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聖なるペルーの旅


2001.9.27〜10.10

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9月 29日
 昨夜、あのあと柾至は熱を出し、何度か嘔吐していた。熱のため、足がだるくて痛かったようだ。私も夜中何度か起きて、彼に足のマッサージをしたり、ヒーリングをしていた。

 今日は、クスコの市内観光と遺跡でのセレモニーが予定されていた。私自身、昨夜外を歩いただけで、足元がふらついていたので、柾至は到底無理だと思い、今日は一日ホテルで休ませて、1日からのインカトレールまでに整えておこうと思っていた。
 朝、エハンにそのことを伝えると、今日のセレモニーはとても大切なので、彼にも出席してほしいということ、移動はバスなので、きつくなったらいつでも休ませることが出来るから、連れて行くほうが良いとのことだった。私も本当は連れて行ってあげたいと思っていたけれど、途中で何かあると他の人の迷惑になるかもしれないと心配していたのだが、それも考えなくても大丈夫と言ってくれた。他にもI.Yさんが、同じように着いてすぐに熱を出して嘔吐し、寝込んでいたらしい。

 まず最初は、クスコの町が一望出来るサクサイワマンの遺跡へ。私たちのガイドであるアドリエールが、今日からグループに参加。シャーマンの要素を備えているアドリエールは、これから行く先々で大きな役割を果たしてくれることになる。
 山に記された VIVA EL PERU の文字が目を引く。クスコは町全体がピューマ(ジャガー)の形をしていて、サクサイワマンはその頭の部分にあたっている。50年以上の歳月と2万人以上を使って、要塞として作られたと言われている。巨石を三層に積み上げて作られ、中には5m、360t もある巨石もあり、それらが1mmの隙間もなく、正確に合わされている。その技術は、現代においても不可能ではないかと思えるぐらいに完璧。
 いろいろな説が飛び交っているそうだが、エハンの意見では、これはどう見ても人間の手によるものではなく、エジプト文明(ピラミッドなど)を創った存在と同じもの(つまり人間ではない存在)ではないかと言っていた。ジグザグの壁は、ジャガーの歯と稲妻を表しているらしい。

 インカでは、3つの世界に分けられている。上の世界のシンボルがコンドルであり、神と人間との間のメッセンジャーである。この世の世界がピューマ(ジャガー)で、戦争の神でもあり、パワー・エナジーのシンボルでもある。下の世界(内なる世界)が、蛇であり、知恵の神でこの3つを統一しているという。私たちは、アドリエールの祈りのあと、その巨石に手をつけて、彼らの叡智とエネルギーを受け取った。
 柾至は、まだ完全に熱が下がっていなかったが、何とか付いてきていた。このあと、山の頂上にクスコの町を見下ろすように、大きく真っ白なイエス様の像が立っているのが目に入った。
 この像は、1944年にパレスチナから寄与されたそうだが、両手を大きく開いたその姿は、「よくここまで来たね」と私たちを出迎えてくれているようにも感じた。柾至とそんな話をした後、突然彼がその場で嘔吐した。(!) でも、そのおかげで気分が良くなったらしく、イエス様に感謝していた。

   

 次に向かったのは、タンボマチャイの遺跡。ここには水の神殿があり、水の神様に捧げられている。インカの時代でも、水は生命とエネルギーの源であり、人々にとって最も大切なもので、大地をきれいにすると言われていたらしい。ここに湧き出ている水は、聖なる泉と呼ばれ、1年中同じ量の水が湧き出ていて、それがどこから流れてくるのか、いろいろ調べられたそうだが、未だに不明らしい。
 続いては、蛇の洞窟へと向かい、私たちはその中で儀式を行った。洞窟の中は、下界と遮断されているようにも思えた。アドリエールが祈り始めると、そこは神殿に変わった。月の神殿でもあるその洞窟の上方の穴からは、夜になると月の光りが注がれるようだ。

 
 ランチは、用意してくれたランチボックスを、青空の下で食べた。自然のエネルギーを感じながら食べるのは最高。柾至の好きなものばかりだったが、自分でまだ食べないほうが良いと判断したみたいで口にしなかった。
 続いて、クスコの町に降りて、コリカンチャ(太陽の神殿)へ。インカ時代では、黄金で覆われていたという。スペイン人の征服後、土台を残して教会が建てられ、現在はサント・ドミンゴ教会となっている。クスコの大地震の後でも、インカ帝国に造られた土台だけは、ひずみひとつ起こさなかったらしい。その石組みは、相変わらず完璧でお見事。(左側の写真)。神殿内には、中央の広場を囲むように月、太陽、稲妻、虹、星の部屋があり、祭壇もそのまま残っていた。これらの壁には、金や銀の像が飾られていたという。教会の部分には、マリア様の像があり、そのあまりの美しさに 思わずシャッターを押したら、またブレて写っていた。(右側の写真)

 この日、一日で私のキーワードが出ていた。水・蛇・太陽・イエス様にマリア様・・・じゃあ、龍は?と思っていたら・・・ この日、エハンはポンチョの下にドラゴンの絵のTシャツを着ていた。彼にそのことを話すと、マーサもエハンも干支がドラゴンだった。 (もう言うことなし!)


 夜は、ピザのおいしいお店に行った。まずは、クリームオニオンスープにトライ。夜は、気温が下がるのでスープがおいしい。みんながビールで乾杯の中、私たちはいつもジュースをオーダーしていたが、どこに行っても大きなグラス一杯に100%絞りたてのフレッシュジュースが出てきた。ホテルでも毎朝フレッシュなパパイヤやパインを飲んでいた。

 柾至はこの時まだ食べれそうにもなかった。昨日の今日なので無理もない。この日もまたバンドが入ってきて、演奏が始まった。柾至は、昨日見ていないので初めて。隣で彼に手を当てながら聴いていたが、昨日よりもさらにノリノリでみんなで掛け声もかけながら、最高に盛り上がっていた♪ 
 しばらくすると、柾至の気分はすっかり良くなって、一緒に唄ったり身体を動かしたりして、ピザもパクパク食べ始めた。今日一日、まだきつかったはずだが、何も言わないで良く頑張った。この日の夜はクスコ最高の夜だった☆