歌は力なり


                                      by 長渕 剛 詩画集「情熱」より

私の歌や、書は心の叫びだ。
自分の弱さをひたすら歌ってきた。
書き殴ってきた。
恥ずかしくてたまらない。
自分自身というただの、丸太のでくの坊を、
人生という彫刻刀で削っていくと
奥歯が折れ、血も吹き出る。
悔し涙も、ポトポト垂れる。
痛みに顔が、ひん曲がる。
深い悲しみに、のたうちまわる。
弱い自分が、頭をもたげて来たとき、
私は、筆に墨を含ませ、散文詩を書き散らす。
そして肉体を木っ端微塵に錬磨し、汗を流す。
心拍数を二二〇まで上げる。
頭をかきむしる前に、動く。
生涯そうやって生きる。
精一杯の汗と精一杯の詩魂をさらに削り落とし、
シェープアップした普遍の歌を完成させる。
そのくり返しだ。
書き殴り、歌い、吠えまくる。
強く、弱く、厳しく、優しく。
自分という得体の知れない物体を
徹底的に壊し、ぶっ叩く。
叩けば叩くほど、強くなれる。
いつしか、
人間を愛する気持ちが湧き上がってくる。
生き物を尊ぶ心が己に宿る。
やがて、頭低く、目線が高くなる。
見えてくるものは、
すぐ向こうに、さらなる高い山。
「チキショウ!!」
また、歯を喰いしばってそれを目指し、
走り、歩き、飛び、跳ね、
テクテク、グングン、生きるのだ。

私にとって、詩を書き歌うということは
人生を切り開いていくことと同じだ。
一詩同体である。
歌は、時として恐ろしく、大きな力を持っている。
私は、歌の力を信じ、
他者が少しでも、
今より高く生きられることをひたすら願う。

さあ、情熱の尻っぽに点火しろ!
そう、君自身でだ。
そして、情熱を燃やせ! たきつけろ!
メラメラと真っ赤な血の色だ。
火だ。炎だ。ドックン、ドックン、命の鼓動だ。
生きている今をひっ掴まえろ!
君も僕も生涯情熱だ。
絶えることなく、火となり、
燃やし続けるのだ。